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お宝探求 <7> 4 建築物=Enclosureの単語選択は適切だったのか
テトラルキア初期,
ディオクレティアヌス帝が銀貨(アルゲンテウス)のコイン裏面デザインに採用した建築物は
正帝2人副帝2人が広大なローマ帝国を四分割統治していくという意思表示を描いたものです。
この銀貨はそれを記念し発行させたプロパガンダコインです。
RICカタログ第6巻に下記画像コインが登録され建築物を説明している箇所。
そこにgate in six-turreted enclosure等の記述を見つけることができます。
検証を進めていくうちにどうしてenclosureという単語を採用したのだろうかという疑問が生じてきました。
※ 画像をクリックすれば大きな画像で確認できます。
左サイドから小塔(turreted)の数が4,6,8の順に画像を配置しています。
古代ローマコインのディスカッション広場にそれを求めると
gate in six-turreted enclosureはcity-gateかcampgateなのかという質問を見つけましたが回答は0でした。
コインのネット販売やフォーラムサイトとして
ご存知の方もおられるかもしれないFORVM ANCIENT COINSで販売されたコインの説明記述に
the four tetrarchs sacrificing in front of six-turreted enclosure (city or castrum)
というヒント的な記述を唯一発見しました。
これ以外でenclosure の記述部分を別の表現で記されている書籍等を現在まで見つけることができていません。
(enclosure の代わりにcampgate,gatewayと記述されているのをオークションや販売サイトで確認することはできていますがenclosureとの違いを理解した上で記述されているかどうかは不明です。)
Campgateと記述されていないもののEnclosureの代わりにcity もしくはcastrumをカッコ書きで付加されているのを見つけた時は少し感激してしまいました。
天下のRIC大参考書の記述ですから当然否定できないのでしょう。カッコ書きで自身の表現をされているのではないかと解釈しています。
私的にもEnclosureという言葉は適切ではないように思います。
英国でのEnclosure は15世紀頃から小作地を囲いこむ言う意味でこの言葉が利用され始めているようです。
規模と用途が違いすぎるのに建築物のデザインが似ているからということなのでしょうか。
第6巻執筆者の出身国が英国だからとは考えたくありませんが無理があるように思えてなりません。
fortとかcastrumという単語がせめて利用されていれば違和感をおぼえることはなかったのではないかと考えています。
参考
カストルム(ラテン語: castrum、単数形)----小規模な砦、古代ローマの砦
カストラ(ラテン語: castra、複数形)-------古代ローマの要塞
cityとは
city gate、Defensive wallの城郭都市を意味していると理解しています。