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お宝探求<7>5 ディオクレティアヌス帝 デザインの異なる建築物コインを発行
コイン裏面に描かれたデザインの種類について比較検証を進めることにしました。
テトラルキア期に発行された建築物(軍事用)は金貨,銀貨,そして唯一のブロンズ貨(キュジコスmint-マクミヌス・ダイア帝)が存在しています。
コンスタンティヌス帝の治世ではブロンズ貨のみです。
次の6分類に分け建築物の記述を比較していきます。
@テトラルキア初期のアルゲンテウスに描かれた儀式+建築物
Aテトラルキア期の金貨に描かれた建築物
Bテトラルキア初期のアルゲンテウスに描かれた建築物
Cテトラルキア中期のアルゲンテウスに描かれた建築物
Dテトラルキア期唯一のブロンズ貨に描かれた建築物
Eコンスタンティヌス帝の治世でのブロンズコインに描かれた建築物
※ 画像をクリックすれば大きな画像で確認できます。
上記の@〜Eを大きく2つの種類の建築物に分類してみました
Aは、B〜Eの建物に奥行きと小塔の追加が見られあくまでもB〜Eの拡張版というような捉え方をしました。
@ はデザイン的にはgateの前で皇帝達が儀式を執り行っているシーン。円筒形のため奥行きを感じさせることなどから
ある程度大きな軍事拠点の建築物を意味しているのではないかと分析しました。
B〜Eはシンプルで平面的なデザインであることからローマ帝国の国境線ぞいに配置された@より小規模な建築物ではないかと分析しました。
都市別の建築物の特徴
@を発行した都市(造幣所)
■294年貨幣発行造幣所(12mint)
アレクサンドリア,アンティオコス,キュジコス,ヘラクレア,ニコメディア,ローマ,シスキア,ティキヌム,トリーア
(注)
・アルゲンテウスを発行しているが儀式+建築物コイン 未発行
アクイレイア
・アルゲンテウスを発行していない
ルグドゥヌム(リヨン)
■296年以降開設された造幣所
ロンディヌム,セルディカ,テサロニカ,カルタゴ,オスティア
建築物的なものは未発行
ロンディヌム,ルグドゥヌム,カルタゴ,オスティア
@を発行した都市はディオクレティアヌス帝が4分割統治を推し進める上で政治的な重要拠点と判断したことが伺えます。
ローマ帝国全土にこの政治体制を知らしめる目的で発行されたプロパガンダコインです。
コイン裏面デザインから
複数拠点の都市およびその近郊都市を4正副皇帝が新たな形で建設していくという意思表示を表し
そしてその門出の儀式を執り行っている様子を描いたのではないかと考えることができます。
現在ではロンドン(ロンディヌム),リヨン(ルグドゥヌム)は有名で繁栄している都市ですが
テトラルキア初期は金貨,銀貨が発行されてない都市だったのです。
お宝探求 <7>2-1 RICカタログ mint別 建築物の記述一覧
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