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ダフネ(DAFNE) シリーズ

    ダフネ(DAFNE)コインの謎について

     このシリーズは、大帝によって発行されたコインの中でも特に興味をそそられる情報が発信されています。コイン表の大帝の肖像の変化。裏面レジェンドのDAFNE。それから振り返る勝利の女神の坐像と足元に捕虜が描かれている構図。
     これらが何を意味しているのか今日でもいろいろの解釈がなされておりますが納得するには無理があるように思えます。
    ギリシア神話でのダフネは、愛情を抱いたアポロンに追い詰められ月桂樹に身を変じ、なおも聖樹にとの願いに月桂樹の葉をアポロンの頭に落としたということで有名です。

    コンスタンティヌス大帝は、どんな意図で発行したのでしょうか。次のような説が論じられています。
    @ ドナウ川流域におけるダフネ砦の完成を記念。
    A リキニウス帝に対する勝利。
    B 異教に対するキリスト教の勝利。

    @ は、貨幣学者による定説ですが、たかだか砦の完成のために記念コインを4年にわたって発行したとは考えづらい。しかしながら実際にダフネ砦は存在したようです。

    A は、統一を成し遂げたという意味では納得できるのですがDAFNEのレジェンドとの関連付けが困難です。

    B の説が有力になるのは自然な流れとして理解できます。なぜなら現在の地球人口の1/3以上がキリスト教徒だからです。

     Bに関して否定的な理由として次のようなことが挙げられます。
     ・ 大帝が発行したコインにXPや十字架がデザインされたものが極めて少ない。
     ・ コインが発行された時期にはキリスト教徒の信者が数多く存在したと解釈されていない。いろいろな説がありますが一般的にローマ帝国の西方地域で人口あたり1/20、東方地域で1/10と非常に少ないのです。まだまだ勝利を確信する時期ではない。
     ・ ニカイア会議やミラノ勅令に関してはキリスト教信仰が公認されたのみで国教に指定されたわけではない。

    以上のようなことを考慮しますと謎はいっそう深まるばかりです。
    個人的には、次のような解釈もあってもいいのではないかと次のように大胆な推論を展開してみました。

    ダフネ(DAFNE)シリーズが、RIC VII カタログ説:328〜329年(他説:327〜330年)まで発行されているところに着目しました。
    なぜ この時期に発行されなければならなかったのかということです。
    326年、前妻の子クリスプスの処刑。327年、妻ファウスタの処刑という忌まわしい事件が発生した後に発行されたシリーズだからです。
    上記のような大事件のことについては、コンスタンティヌス大帝を美化し続けたエウセビオスもクリスプスの専属家庭教師であったラクタンティウスもそれについて書き残すことは一切しておりません。他の証拠もすべて抹消してしまったのでしょう。
    コンスタンティヌス帝およびキリスト教の史実を正面から書き残そうとしたギボンやヤーコプですら新しい事実が発見されないととか無益であると述べています。真相は今後も謎のままでしょう。
    しかしながら、家族を犠牲にしてまでも自己の地位保全に努めた皇帝でしたが悔恨の念におそわれ懺悔したとも伝えられていることから二人を月桂樹の葉にみたてて悲しみの中で皇帝位を継続していく意思を表明したコインではないかというふうに解釈してみました。

    そう解釈したくなる理由は、このコインには謎かけが施してあるということです。
    コイン表の大帝の肖像の変化。(発行時期により天を見上げるポーズなどRICVIIカタログではバストタイプE4〜E6です。当webサイトのバストタイプで確認できます。)
    参考バストタイプへ
    それから裏面には、意味不明なレジェンドDAFNE。振り返り遠くを見つめる勝利の女神。(このようなポーズの勝利の女神は他のコインでは採用されていません)
    そして足元の捕虜。(これはコンスタティス帝自身が怯えながら許しを請う姿ではないのか)
     これらの事象をつなぎあわせ大帝が若き頃、帝国統一の野望に燃え太陽神アポロンを崇高なまでに信仰していたということを踏まえるとコイン裏面には自然とダフネDAFNEのレジェンドが挿入されたとしても不思議でなくなってしまいます。大帝がコンスタンティヌス家の愛の姿を帝国民に伝えようとこのコインを発行したのではないかという考えに至りました。

    ファウスタは、妻として二十数年も連れ添っていたこと。クリスプスに至っては、帝国民が熱狂的に支持していたことや大帝の母ヘレナの愛をこよなく受けていたことから大帝が母から大叱責を受けたこと等により何らかの意思表示をせざるを得ない状況に追い込まれていたのではないかとも推測されます。


    以上のようなことからキリスト教徒だけでなく異教徒の人々にとっても歴史的宗教的な検証を提供するコインとしてとても人気の高いコインです。