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帝国期における銀貨
ローマ帝国の銀貨(第I期)
アウグストゥスによって再構築された銀貨システムは、ローマ帝国の衰退とともに銀貨改悪の道をたどることになります。悪貨の歴史といっても過言ではありません。重量を軽くするだけでなく銀の純度も除々に下げられていきました。純度50%前後の改革としてカラカラ帝によって始められたアントニアヌス銀貨発行以前の悪貨の歴史を追ってみました。
参考:純度に関してはローマ帝国愚帝列伝の表10を参考にさせていただきましたが重量は独自調査ということをご了承ください。特に重量はコンモドゥウス帝、純度は、セプテミウス・セウェルス帝の治世から極端に悪化が進んでいきます。
1.ユリウス・クラウディウス朝(B.C.27年〜A.D.68年)
2.市民戦争期(68年〜69年)
3.フラウィス朝(69年〜96年)
4.五賢帝時代・アントニヌス朝(96年〜192年)
5.セウェルス朝(193年〜235年)
6.軍人皇帝時代(235年〜284年)
皇帝 | 素材 | 重量 (目安) | 純度 (目安) |
---|---|---|---|
アウグストゥス | デナリウス(Denarius) | 3.8g前後 | 98% |
ティベリウス | デナリウス(Denarius) | 3.7g前後 | 98% |
カリグラ | デナリウス(Denarius) | 3.7g前後 | 98% |
クラウディウス | デナリウス(Denarius) | 3.6g前後 | 98% |
ネロ | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 93.5% |
ウェスパシアヌス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 91.3% |
ティトゥス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 92.5% |
ドミティアヌス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 93.5% |
ネルウァ | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 93.3% |
トラヤヌス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 91.5% |
ハドリアヌス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 90% |
アントニヌス・ピウス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 88% |
マルクス・アウレリウス | デナリウス(Denarius) | 3.4g前後 | 78.5% |
コンモドゥス | デナリウス(Denarius) | 3.0〜3.4g前後 | 73.4% |
セプティミウス・セウェルス | デナリウス(Denarius) | 3.2〜3.4g前後 | 55.5% |
カラカラ | デナリウス(Denarius) | 3.1g前後 | 51% |
マクリヌス | デナリウス(Denarius) | 3.2g前後 | 57.9% |
エラガバルス | デナリウス(Denarius) | 3.0g前後 | 45.5% |
セウェルス・アレクサンデル | デナリウス(Denarius) | 3.0g前後 | 45% |
ローマ帝国の銀貨(通貨改革:第II期)
アントニニアヌス銀貨(Antoninianus)、正式にはこのコインに関する名称は存在しなかったのですが、後世の学者が発行を企画したカラカラ帝の公式名称アントニヌスにちなんで名づけたと言われています。重量を5g前後としコインの価値を2デナリウスにする目的だったようですが実際の銀含有量は50%以下だったようです。
このアントニニアヌス銀貨は市民に受け入れられていき次第にデナリウス銀貨が鋳造されなくなってしまう原因を作りました。これによりアウグストゥス帝によって開始された銀貨システムは崩壊することとなりました。
貨幣の種類 | 素材 | 重量 (目安) |
---|---|---|
アントニニアヌス(Antoninianus) | 銀(silver) | 5g前後 |
ローマ帝国の銀貨(通貨改革:第III期)
アルゲンテウス銀貨(Argenteus)、ディオクレティアヌス帝が指示した通貨改革によって鋳造された銀貨の呼称です。軍人皇帝時代に消滅するに至ったデナリウス銀貨の復活を目指したもので重量は1/96ポンドの3.4gとしました。アウグストゥスの開始した重量には及ばないもののローマ帝国の経済再建を意図していました。
貨幣の種類 | 素材 | 重量 (目安) |
---|---|---|
アルゲンテウス(Argenteus) | 銀(silver) | 3.4g前後 |
ローマ帝国の銀貨(通貨改革:第IV期)
シリクァ銀貨、コンスタンティヌス大帝が指示した通貨改革によって鋳造された銀貨の呼称です。ディオクレティアヌス帝が始めたアルゲンティウス銀貨と同等の価値としたもので重量は1/96ポンドの3.4gとしました。 ローマからコンスタティノポリスへ遷都した330年頃には大銀貨ミリアレンセを発行しています。重量は1/60ポンドの5.4gとしました。 大帝の死後、コンスタンティヌス朝、ユリアヌスII世、ウァレンティニアヌス朝、テオドシウス朝と制度そのものは引き継がれていきましたが数量、重量ともに減少していきテオドシウス朝滅亡以降の西ローマ帝国では蛮族の侵入の影響から僅かな銀貨の発行に留まりました。
貨幣の種類 | 素材 | 重量 (目安) |
---|---|---|
シルクァ(Siliqua) | 銀(silver) | 3.4g前後 |
ミリアレンセ(Miliarense ) | 銀(silver) | 5.4g前後 |
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